バッタの大発生は農業に深刻な被害をもたらし,世界的な食糧生産に大きな影響を及ぼします.こうしたバッタの大発生による被害は紀元前から続く問題ですが,未だに抜本的な解決をみていません
現在,バッタの大発生に対する主要な防除策は殺虫剤の散布です.この方法はバッタの移動能力が低い幼虫の時期には特に効果的ですが,成虫になると短期間で広範囲を移動するため効果的な介入が難しくなります.また,殺虫剤を使用することによる生態系への悪影響も懸念されています.
そこで我々は,トノサマバッタが集合フェロモン4-Vinylanisole(4VA)に引き寄せられる性質に着目し,新たなバッタ群制御の可能性を探求しています.2024年度には4VAに特異的に反応する嗅覚受容体OR35に着目し,シミュレーションを通じてOR35欠損個体を用いたバッタ群の制御手法を検討しました.