Research Themes

トビバッタ群の制御:群れをシステムとして捉える

はじめに

バッタの大発生は農業に深刻な被害をもたらし,世界的な食糧生産に大きな影響を及ぼします.こうしたバッタの大発生による被害は紀元前から続く問題ですが,未だに抜本的な解決をみていません

現在,バッタの大発生に対する主要な防除策は殺虫剤の散布です.この方法はバッタの移動能力が低い幼虫の時期には特に効果的ですが,成虫になると短期間で広範囲を移動するため効果的な介入が難しくなります.また,殺虫剤を使用することによる生態系への悪影響も懸念されています.

 

研究室の取り組み

そこで我々は,トノサマバッタが集合フェロモン4-Vinylanisole(4VA)に引き寄せられる性質に着目し,新たなバッタ群制御の可能性を探求しています.2024年度には4VAに特異的に反応する嗅覚受容体OR35に着目し,シミュレーションを通じてOR35欠損個体を用いたバッタ群の制御手法を検討しました.

研究を通じて身につく力

バッタ制御研究では,生物の群行動という一見情報科学から遠い対象を,数理モデルとアルゴリズムによって制御可能な問題として捉え直すことを行います.本研究室では,この研究を通じて,情報科学の基礎的な能力を横断的に養うことを重視しています.

群行動を情報処理として捉える力

バッタの大発生は,多数の個体が相互作用することで生じる集団現象です.本研究では,個体間の相互作用やフェロモンによる誘引を,情報の伝播や処理として捉える視点を用います.

この視点を身につけることで,群行動を単なる生物現象としてではなく,情報科学的に解析・設計可能な対象として扱えるようになります.

現実の現象を数理モデルに落とし込む力

バッタの移動や集合行動は,観測データや実験結果としては得られても,そのままでは数理的に扱うことができません.そこで,どの要素をモデルに含め,どこを単純化するかを慎重に検討します.

この過程を通じて,現実の複雑な現象を,情報科学の言葉で再構成する力を養います.これは,多くの応用研究に共通する重要な能力です.

情報科学と生物現象をつなぐ視点

バッタ制御研究は,群制御,マルチエージェントシステム,複雑系科学など,情報科学の理論と生物現象を橋渡しする研究テーマです.

この研究を通じて,異なる分野の知見を組み合わせながら問題を捉える姿勢を身につけることができ,情報科学の応用範囲を広く見渡す力につながります.

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